時間-デジタル変換器

近年の半導体プロセス技術の進歩とともに、集積回路の動作電源電圧は低下しており、電圧方向のアナログ情報を高精度に取り扱う回路の設計は複雑さを益しています。その一方で、微細プロセスにおけるトランジスタの応答速度が速まることで、時間方向において高い解像度を実現できるようになり、時間方向のアナログ情報を取り扱う新たな回路アーキテクチャに注目が集まっています。

本研究室で取り扱っている、時間差増幅器(TDA: Time-Difference Amplifier)と同様に、入力時間または二つの信号入力時間の差をデジタル情報に変換する回路も、時間情報を取り扱う回路アーキテクチャにおいて最も基本となる構成要素の一部であり、本研究室ではより高い時間解像度を有する時間-デジタル変換器(TDC: Time-to-Digital Converter)の研究を行っております。

本研究室では、我々が開発した時間差増幅器を用いることで時間解像度を向上させた時間-デジタル変換器や、プロセスばらつきに対しても安定な高い時間解像度を実現する差動パルス幅縮小方式を用いた時間-デジタル変換器を提案しており、1ps(ピコ秒:ピコは10の-12乗)以下の超高精細な時間解像度を実現しております。

時間-デジタル変換器は、チップ上のクロック信号生成などの用途以外にも、ジッタなどの雑音測定や、距離計測、高エネルギー粒子の到達時間の検出など、多くの用途を持っておりそれらのアプリケーションに向けた新規回路の提案・開発・実証を進めております。