みなさんはグライダーでフライトするときにフライトプランを入れますか? こんなことを言い出すのは誰なのか大体想像がつくかと思いますが、この意見 にも一理あるのでいっしょに考えてみてください。 ○航空法第97条第2項  2 航空機は、前項{計器飛行方式}の場合を除き、飛行しようとするとき  (運輸省令で定める場合{半径9km以内の飛行}を除く。)は、運輸省令で  定めるところにより運輸大臣に飛行計画を通報しなければならない。                           {}内はわたしの注 となっているため、フライトプランを出して飛んだことのある方も多いでしょう。 しかし第3項では  3 第一項又は前項の規定により、飛行計画の承認を受け、又は飛行計画を  通報した航空機は、前条の運輸大臣の指示に従うの外、飛行計画に従って航行  しなければならない。但し、通信機の故障があった場合において運輸省令で定  める方法に従って航行するときは、この限りでない。 と決められています。グライダーでは(モグラを除いて)通報した通りにフラ イトすることは不可能です。プラスがどの方向に多いかはある程度予測できる こともありますが、実際の飛行コースは飛んでみるまで決められないからです。 つまり、フライトプランを提出することにより、自分のフライトが航空法違反 であることを証明することになってしまいます。  フライトプランは出さなくても航空法違反、出しても航空法違反となってし まうわけです。いったいどうしたらよいのでしょうか。  また、グライダーの飛行そのものが航空法違反です。それは ○法第92条  航空機は、航空交通管制区又は航空交通管制圏においては、次に掲げる飛行  (曲技飛行等を除く。)を行ってはならない。ただし運輸大臣の許可を得た  場合はこの限りでない。   一 略{練許可生}   二 略{限定変更}   三 航空機の姿勢を頻繁に変更する飛行その他の航空交通の安全を阻害す     るおそれのある飛行で運輸省令で定めるもの ○規則第198条の2  法第92条第一項第3号の運輸省令で定める航空交通の安全を阻害するおそ  れのある飛行は、次の各号に掲げる飛行(航行の安全上やむを得ないと認め  られる事由により行われるものを除く。)とする。   一 航空機の姿勢を頻繁に変更する飛行   二 失速を伴う飛行   三 航空機の高度を急激に変更する飛行  例えば、140kmで巡航していたかと思えば次の瞬間には 急激に引き起こし、バンク50度の急旋回で+5m/sで上昇 する、ということはよくやりますが、これがこの 規定にあたらないとはいえないでしょう。後ろをついてきた 航空機がいたとしたら、絶対驚くに違いありません。  また、法第82条で定められる巡航高度もグライダーでは守れるはずが ありません。航空法自体がグライダーのことを考えて作られていないので、 いろいろなところに不都合があります。守ることのできない法律では困 りますね。 フライトプランを提出することの是非などについて、みなさんの 意見を聞かせて下さい。 -- 文責:山下 高廣 mailto:taka@silicon.u-tokyo.ac.jp このページは東大航空部とは関係ありません。