report 96/11/16 [long] 大陸の高気圧が張り出しており、寒気が入ってくる予報でした。 このような日はサーマルも強いけど風も強いという条件になるだろうと 思い、小山絹へ出かけました。 でも前日(金曜)とあまり変わらない天気図に見えますし、金曜は 逆転層が一日中とれなかったので本当に条件がいいのだろうかと 心配でした。 10時過ぎに着くと、曳航機は準備されているものの誰もいません。 菊池さん一人だけしかいませんでした。菊池さんに手伝ってもらって機体を準 備していると、クラブ員がひとりふたりやってきました。どうやら今日はぼく が考えていたようなサーマルコンディションではなく、コンバージェンス(*1) が出るそうです。 11:46に900mで離脱。曳航機の加藤さんが連れてきてくれた ポイントでしばらく粘りますが荒れていて今一つ上がりはよくありま せん。思い切って雲の真下まで伸ばしていくとリフトにヒットしました。 1700mでリフトを外してしまいましたが、雲底まではまだ距離があります。 前線面がどこになるのかよくわからなかったので、風上の雲へ伸ばして みました。コース取りがよくなかったのか、強い沈下が続いて1300m まで落されてしまいました。同じような形をした積雲(*2)が至るところにあり、 あるところは+4、またあるところはー4なのでどう飛んでいいのか さっぱりわかりませんでした。 強い風のおかげか、視程はクリアー(数十キロ)、南西には逆転層の 上に富士山がはっきり見えます。カメラを持ってこなかったことを後悔しました。 R/W上に戻って雲底まであがり、2000mになりました。曳航機に 無線で報告すると、「風下には行かない方がいいよ」と言われたので、 また同じコースを北西に伸ばして行きました。 どうやら雲の列の南側がよく上がるようです。右手(北)200mくら い低いところにも雲の列があります。見てるとどんどん湧き上がってきます(*3) が、かすめてみても上がりはよくありません。右下の雲から少し離れて、 頭上の雲の南端あたりの上がりがいいようです。 ここが前線面になるらしく、直線滑空していてもどんどん高度があがります。 2100〜2200mを維持してどんどん前進することができます。 栃木市を過ぎると目の前(20キロくらい先?)に男体山がはっきり見え、 GPSは小山絹から36キロを示しています。こんなに遠くまできていいのか ちょっと不安になりましたが、高度計を信用しました。 東北道鹿沼あたりで雲の列はなくなってしまいました。ここまでくると 小山絹よりも氏家の方が近いので氏家に行ってみようと思いました。北上すると 強いリフトがあり、その先は雲底が1700mになっていました(*4)。スピードをだして 雲に入らないようにすると、見慣れた栃木の変電所(*5)が見えました。 積雲がずっと続いているので矢板まで行ければいいと思ったのですが、 まったくリフトに当たらず、氏家の北・東北道の橋で1500mになってしまいました。 氏家のR/Wがだいぶ大きく見えて、どこかの大学が訓練しているのが見えまし た。氏家の町で+1のサーマルを拾い1650mまで回復して、小山絹へ 帰ることにしましたが,沈下もそれなりにあって、岡本の橋(*6)を1350mで 通過、意外と前進速度がでません。地上の煙を見ると、南風1ー2m吹いて いるようです。 小山絹まで20kmのところで1100mになりましたが+2を拾いました。 小山絹ではちょうどIS28が離脱したところらしく、+4で上がっている とのことです。ISを見つけて並んでクルーズして宇都宮の自衛隊R/Wの 真上に行きました。ぼくは寒くて小○ががまんできなかったので 1700mからダイブを開けて降りました。3時間15分でした。 上空は2°Cだったので地上はあたたかく感じられて本当に生きかえった 気分でした。 -- (*1)コンバージェンス:本を見ても「風の収束」としか書かれておらず、 よくわかりません。海陸風前線もその一種ですが、今日のとは違います。 冬型の気圧配置になると赤城山の南側を赤城おろしが吹き抜けます。 那須にも強風が吹きます。しかしその間の山に遮られたエリアは無風か 弱い南風になります。そして強風の境目ではベンチュリー効果により 空気が吸い寄せられて上昇風ができる、というのがコンバージェンス だそうで、今日はこの前線が下館から今市にかけてできていました。 (*2)コンバージェンスラインにある雲だけが使える雲で、それ以外は 寒気が入っていることによる雲だそうです。 (*3)違う種類の空気がぶつかっているので雲底が違うのは当然。 (*4)ここで当たった強いリフトは前線面。雲底が低いということは 空気の種類が違うということで、この中に入っても上がれないのは 当然です。入ってもいいけど帰りはまた前線面を使うのが常識だそうです。 (*5)氏家の西5km (*6)氏家の南9km